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卒啄同時〜いのちの教育講演会から

さちるのつぶやき 其の四十六

情報登録日:2009-07-16 18:19:43 (sachiru7777)

最終修正日:2012-03-02 09:28:21 (sachiru7777)

元上野動物園園長 中川志郎先生のお話

ひよこ私事ですが、小さい頃は動物園の飼育係になりたいと思っていました。
動物の赤ちゃんはみんなとっても可愛い!やないですか。
丸くて小さくて柔らかなものを人は可愛いと感じるそうですが、
例えば生まれたばかりのヒヨコが自分に懐いてくっついてきたら
かわいくて、何の疑念も抱かず大切に育ててしまいませんか?

上野動物園の飼育係の人たちも、
親を亡くしたり、育児放棄された赤ちゃん動物に
母動物に代わってミルクをやり、身体を温め、
献身的な世話をして大きく育てていったそうです。
ところが後に、見かけはもう立派な大人の体になったこの動物たちが
思いもよらない結果を教えてくれたといいます。
発情期がきているのに、動物園側がいくらお見合いさせても”ペアリング”できない、
あるいは、子どもを産むことはできても育てることができない、
集団で生きる動物ではその集団になじめない、
鳥にいたっては、自分を「人間」だと思い込んでいる!
鳥には生まれて初めて目にした動くものを「親」だと思う
心理用語でインプリンティング(刷り込み)の性質があることを
動物園の方々も最初はわからなかったのです。

餌をやり世話をすれば<体>は成獣にすることはできるが、
はたして…という難しい問題に飼育係の方々は直面された訳です。

集団生活になじめない、結婚できない、育児放棄…
どこかの世界で聞いたような耳の痛い話ですよね。
もちろん、人間は動物とは違います。
中川先生も「老親を介護するのは人間だけです。」とおっしゃっていましたが、
人間には言葉があり、知恵があり、独特の文化がある。
実母に育てられなかった子がみんな子育てできない母親になるなんてことは決してないし、
「反面教師」という言葉が示すように、環境を打ち破って親とは違う自分になることも、
後から足りないことを補っていく力もあると私は信じています。
でも、動物たちの示すストレートな反応は、
人間社会に置き換えて参考にすべきことがたくさんあるようにも感じました。

一番印象に残ったお話が「卒啄同時」のお話です。
卵の中からヒナが殻を破って生まれ出ようとする瞬間、
内側からヒナが殻をつつくのを「そつ」、
外から親鳥がつつくのを「たく」といって、
このタイミングがうまく合わないとヒナは死んでしまうのです。
人間が思わず殻を破る手伝いをしたくなっても堪えなければなりません。
「あ〜生まれそう!!」などと卵の近くで叫んでもいけません。
雛は卵の中からちゃんと感じてしっかり聞いているのですから。

生まれる前からの母と子のいわば共同作業。
人間でいえば、「もうでたい〜」と胎児が信号を送り、
母親の陣痛が始まって…といった出産の一連の流れでしょうか。

私自身の出産は帝王切開でした。
陣痛がきてからの手術でしたし、局部麻酔で意識もありましたが、
ひとつ心残りなことがあるんです。
大きな大学病院で母子別室でしたので、
生まれてすぐ、わが子は当たり前のように新生児室へ連れていかれました。
初声は聴けましたが、その場で触れなかったのです。
まだ汚れたままのほやほやのわが子を胸に抱いて、
私の「心音」を一番先に聴かせてみたかったなあと。
生まれ出て初めて聞く「音」がもし私の心臓の音だったら、
今の親子関係が何かしら劇的に変化してたかもしれない…
とはさすがに思いませんが、
ぐずってあやす子を胸に抱いた時の反応が少しは違ったかもしれません。

母親の側だってそうです。
子どもを産んで初めてお乳がでたとき、(私は32で初産だったので)
32年間一度も使われなかった身体の機能がフル活動してる〜と
驚きでいっぱいだったのですが、
赤ちゃんの泣き声を聞くと、お乳がサア〜と張ってくるように、
出産後すぐに赤ちゃんを胸に抱いていたら、
母性本能(?)がもっとでて、子育てにイラついたり、切れたりしない
ちょっとはましな母親になっていたかもしれないではないですか。

先生は、講演会で「危うい」という言葉で表現されていましたが、
人間社会は何か大事なものをどんどん取り落して行っていっているのかもしれません。

いのちの教育講演会と村上彩子さん

ソプラノ歌手村上彩子さん今年のいのちの教育講演会は、内容が盛り沢山で、
後半がこの上野動物園元園長先生のお話、
前半は、以前「さちるのつぶやき」でもご紹介させていただいた
ソプラノ歌手 村上彩子さんの透明感のある素敵な歌声と朗読でした。

どちらもあっという間に終わってしまい、願わくばお1人ずつ2回に分けて
もっともっとじっくりお聞きしたい素晴らしい内容でした。



リンクさちるのつぶやき其の四十円ブリオいきいきコンサートで思う

講演会舞台裏

ちらしまた、今回は初めて、開場前にホールに潜入することができ、
舞台裏方の様子をたっぷりと取材できました。
会場ではお揃いの黄色のエンブリオのユニフォームを着たスタッフの方々が
大勢、最終調整に忙しく立ち働いておられました。
ちょうど、エンブリオ基金で出産を決意された若いお母さんが舞台の上で
原稿を読み上げるリハーサルの最中でした。
立ち位置の確認や照明・音響の調整、時間配分…
この日の為に綿密な打ち合わせを重ねてきた様子が伺えます。
笑顔でリハをこなしていたこの若いお母さんは、
本番のステージでは感極まって涙ぐんでいらっしゃいました。

<産みたいときにかけるちょっとした手助け>
まさにタイミングが勝負の卒啄同時が成就した例なのでしょう。



リンクぼらぼらボックス講演会案内

円ブリオ京都のホームページができました

活動のご縁で、このたび 「円ブリオ京都」さん
(京都小さな生命を考える懇談会;京都小さな生命を守る母親の会)のホームページを作らせていただくことになりました。

ブログでは、日々の活動の様子も随時更新中です。
ぜひ、一度ごらんください。

リンク円ブリオ京都のホームページ

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コメント

読んでくださってありがとう!

顔 sachiru7777 時間 2009年 9月 2日 19:57:20

嬉しいコメント本当にありがとうございます!
なかなか更新できないのですが、琴線に触れる出来事があったらこまめにアップできるよう頑張ります。
PS.私も、わっかちゃいるけど実行に移せない口うるさい母です。ただいま思春期との間のとりかたを手探りで進行中…

さちるさんの一ファンです

顔 unknown 時間 2009年 9月 2日 19:53:52

いつも拝見し、心がじわ〜と温かくなったり、くすっと笑ったり、涙が出そうになったり・・・さちるさんのお人柄のにじみ出た文章が大好きです。卒琢同時・・・初めて知った言葉ですが、思春期真っ盛りの子を持つ親として、その言葉は誕生時だけでなく、今も子供の要求に応じた対応・言葉かけの重要さに通じるなと思いました。
子供といかにその時々に適切な距離を保つか、つき過ぎず離れすぎず、幼いときのようについ、根堀葉堀聞いたり過干渉になったりしては、うっとおしがられてる今日このごろ。反省も含めてはっとさせられる文章でした。
黙って見守ること、言葉を呑んで目と心だけをかけてやることの大切さ、わっかちゃいるけど実行に移せない口うるさい母です(苦笑)


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